フランスの北部の町、カレー。
シリアから欧州に押し寄せてくる難民問題については、皆さんもすでにニュースでご存知だと思いますが、カレーには主にシリア、スーダンやエリトリアからの難民が滞在するキャンプがあります。
2015年12月15日、バンクシーは、そこにミューラル(壁画)を公開したのです。
タートルネックにブルージーンズ、初期のMacを小脇に抱え、
左肩にゴミ袋をかけているスティーブ・ジョブス。
バンクシーはこれまでも多々、世の中の社会問題や政治問題に対する
自らの考えをアートで主張し続けてきました。
今、アメリカでは、2016年の大統領選に向けて、共和党から指名を受けるための指名争いが繰り広げられている最中ですが、そこに立候補中のドナルド・トランプ氏。
彼は「トランプ・タワー」、「トランプ・プラザ」など、大規模開発を次々に手掛け、
「アメリカの不動産王」として知られていますが、
彼が大統領選挙に勝利すれば、「イスラム教徒の入国禁止する」と発言し、世界の難民問題とあいまって、物議を醸しています。
バンクシーは、欧米が協力しないと解決していかないこの、深刻な問題に、必ず、メッセージを投げかけてくるはず。
バンクシーの発言に僕は、個人的に、かなり、注目していました。
息絶え、海に浮かぶ難民。それを横目にアフリカからヨーロッパへ渡ろうとする難民で溢れそうな小船を遠隔操縦するというアトラクション「Refugee Boat」が Dismaland(ディズマランド)にありました。
難民でぎゅうぎゅう詰めの小船がたくさん水面に浮いていて、
一つの小船を操縦していたら、知らないうちに操縦する小船が変わっていく・・・
「欧米のような経済大国の移民になれるか、亡命を夢見て船に乗り込むだけで終わるか、どちらに転ぶかは、あなたは自分でコントロールすることはできない。」
カレーの街にある、移民局の隣にも、テオドール・ジェリコーの「メデューズ号のいかだ」をもじった新しい作品を発表しています。
We are not in the same boat.
「みんなが同じ船に乗っているわけではない。」
と、バンクシーのウェブサイトに記されていました。
最後に、
バンクシーはイギリスの大衆紙「Independent」への声明の中でこう語っています。
「私たちは、移民が国の資源や財源を奪っていくと考えがちだが、スティーブ・ジョブスはシリア移民の子どもである。アップルは世界一利益を上げている会社で、年間に約8000億円もの税金を払っている。そんな大企業・アップルが存在するのは、アメリカがシリアからの移民・ジョブスの父を受け入れたからだ。」
Dismalandが閉園した後も、バンクシーは積極的に、フランス・カレーにある難民キャンプまで、Dismalandで使用した木材や廃材を運び、難民のための仮設住宅や、子どものための公園を作る難民の支援活動「Dismal Aid」を続けています。
Dismaland、その後、、、
↓
http://dismaland.co.uk/
Dismaland(ディズマランド)って何?という人はここ。
↓
https://www.noiseking.com/blog/dismaland
Dismaland(ディズマランド)のスーベニアショップで実際に販売されていた作品。
↓
http://www.noiseking.com/products/detail19738.html
Dismaland(ディズマランド)関連作品こちらから。
↓
http://www.noiseking.com/products/detail19839.html