バンクシーが、先週末(1月23日〜24日未明)に新作を発表しました。
新作の展示場所は、、、
「ロンドンにあるフランス大使館、向かい側の壁」です。
フランス国旗を背に、催涙ガスで、涙を流しているレ・ミゼラブルの少女コゼット。
ヴィクトル・ユーゴーが1862年に執筆し、これまでに何度も映画化、舞台化されているあの、有名なミュージカルからです。
なぜ、涙を流すコゼットが描かれたのか?
バンクシーの描いたミューラルの左下を見てください。
QRコードがステンシルされています。そして、そのQRコードをスマートフォンのQRコード・リーダーやスキャナーで読み込むと、あるYoutubeの動画が開きます。
その動画には、2015年の暮れにバンクシー自身フランス北部の街、カレーの難民キャンプを訪れ、スティーブ・ジョブスを壁に描いた場所周辺で起こった襲撃映像が映し出されます。
その映像の中では2016年に1月5日、6日にフランスの警察当局が、カレーにある
難民キャンプの一部を撤去するために、手榴催涙ガス、放水銃、ゴム弾や、約1500人の難民を強制的に立ち退かせるために襲撃する光景がみられますが、
その行為・襲撃に対し、フランス当局は、「公衆の秩序を回復するために必要不可欠と判断される場合以外、催涙ガスを使うのは我々の目的ではない。難民キャンプで催涙ガスを使ったことはない。」と、公式発表しています。
今回の作品がバンクシーによってフランス大使館の壁にBombされたのは、フランス北部にある街、カレーの難民キャンプの壁にスティーブ・ジョブスを描いたミューラルが、何者かによって、上書きされ、台無しにされた直後のことでもありました。
もしかしたら、 アメリカ人であるスティーブ・ジョブスではフランス国民に対して、メッセージが弱い、、と感じたバンクシーが、フランス人なら誰もが知っている文豪、ビクトル・ユーゴの名作を通して、フランスの民意に難民問題を訴えたかったのかも知れません。